「草生える(くさはえる)」って言葉・・・かなり前からインターネットで見かけていたので、なんとなく意味を知っている方は多そうですが、一部ではリアルでも使われているのをご存知でしたか?
ニコニコ動画やツイッターでみかける「草生える」その意味と元ネタは?
「草生える」の意味は、一言でいるならば「笑える」です。
それがなぜ「草」になったのか、順を追って説明しますね。
第1フェーズ:(笑)→w
「(笑)」(カッコわらい)は、自分で面白い事を言ったときや、せりふで笑いを表現したいときに、今でも使いますよね。カッコはあったり、なかったりしますが、これが元々の形です。
2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)などの掲示板では一時期、「藁(わら)」というバリエーションもありました。もう見なくなりましたね。懐かしいです!
さて、どうして「w」が使われるようになったか、という話に戻りますね。
実は、最初に「w」が使われた場所は、ネットゲームだそうです。
海外のゲームをプレイする際、ローマ字しか打てなかったため、「(笑)」を表現するときに「warai」となりました。しかしそれでは長すぎるので「w」になった、ということです。
「w」は短くて使いやすい、ということで、海外ゲームにとどまらず、日本のゲーム、それからニコニコ動画やツイッターなど、ネット上で広く使われるようになりました。
ちなみに、「w」は全角です。
前述の通り、元々は「(笑)」の略語です。「笑い」とPCに打ち込むときは日本語入力ですよね?
いちいち半角のローマ字モードに切り替えて入力するのではなく、あくまで日本語で「warai」とタイピングする途中ということで全角なのです。
余談の余談ですが、
「w」(全角)を単芝
「www(2個以上)」を複芝
「w」(半角)を半芝
というそうです(芝は草の派生形)。どうでもいいですwww
第2フェーズ:w→草
「w」が増えていくことで、笑いの程度が大きくなります。
ただし、「w」を常に3つは使う人もいれば、1つしか使わない人もいますし、元の値や振れ幅は人それぞれです。
「w」が笑いならば、「www」は大笑いといったところでしょうか。
「w」の数が増えていくと・・・
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
はい、何かに見えますか?
草原、見えましたか??笑
まるで草が生えているようにみえたのが、「草生える」のはじまりです。
そう、wがつながっている文章のことを草が生えている状態といい、転じて、笑うことそのものを草生えるというようになったのですね。
ニコニコ動画では、配信される動画の途中で、画面上に視聴者がコメントを入れられる仕組みになっています。動画の画面いっぱいに「w」が覆いつくされる様子は、本当に草原のようです。
あまりに草が生えすぎて、肝心の動画が見られないということも少なくありませんでした。草がウザくてストレスを感じた人のために、動画中の草を打ち落とすシューティングゲームもあったとか・・・。
「草生える」をリアルで使う反応は?なぜうざいのか?流行語としての「草」を検証!
では、実際の会話に「草」「草生える」は使えるのでしょうか?
結論から言うと、「ネットに馴染みのある若年層であれば意味は伝わるが、ドン引きされる可能性が高いので止めたほうがよさそう」です・・・。
相手に伝えるための言葉ですから、もちろんTPOをわきまえていて、相手が理解してくれるならば、一般的でない言葉だとしても使うのは自由だと思います。
ただ、それが分からない状態で使うのはちょっと危険かも?
意味が分からない人にとっては「?」ですし、分かる人からすると
「痛い」「うざい」「オタクっぽい」といった印象をもたれることがあるようです。
では、なぜそのようなネガティブな印象をもたれるのでしょうか?ちょっと考えてみました。
目の前におかしいことがあって、「草生える」と言った場合(現在形)
目の前におかしいことがあったら、笑います。
それを「草生える」と表現したき、言った方・言われた方はどういう気持ちなのでしょうか?
①言った方(草が生えている人)
草生える、と言った方は、あるいは、本心から笑っていると思われたくない、または本当は笑ってないのではないでしょうか?
例えば、以下のケース。
「ちょっと、この画像みて!・・・草生える」
言い方にもよりますが、笑いながら言うなら自分の感情なのに客観視している感じ、自分の笑いを飲み込める程度なら、相手や状況に合わせている可能性があります。
②言われた方(草が生えている人と一緒にいる人)
素直に笑えよ!って思います。
「草生える」なんて「笑える」より文字数多いやん!と心の中で突っ込みますし、
そんなに面倒くさい言葉使われたら、ホントに笑ってる?って思います。
つまり、言った方の「素直に笑っていない」心理を見透かしている可能性が高いです。
「草生える」を常用している方には申し訳ないですが、この人はひねくれているのでは?と考えてしまうかもしれません。
もともと、「笑う」って人間の感情からくる言葉ですよね。
それをあまりに客観視しているから、不自然なのではないでしょうか。
だって、「笑う」主体は「自分」です。
本来、素直に笑えばいいことを、「草生える」といって片づけてしまってるのです。
だから、人間の感情として不自然で、気持ち悪いんだと考えます。
笑いについて考察したら、きりがなくなるのでやめますが、用法をみると、厳密には「(笑)」と「草」は完全にはイコールでないのかもしれませんね。
つまり、「(笑)」は幅広い笑いを指しますが、
「w」や「草」の方には、誰かを嘲笑するような、負のニュアンスが含まれているかもしれません。
それで、「草」の負のニュアンスと、「草」という言葉自体の距離感が、なんだか笑いを自分と切り離して置いているような感じに受け取られるのではないかと考えます。
ひとしきり笑った、または笑うポイントを理解した後で、「笑える」を人に伝える場合(完了形・過去形)
日常生活でも、「笑える」って使いますよね。
「笑える」って、すでに自分の感情で笑いを堪能した後で、冷静に「これ笑える」っていう感じで使うのではないでしょうか。
現在形のときとは違い、冷静な状態で使うので、感情が伴っていない気持ち悪さはないでしょう。言葉を置き換えてもいけそうです。
「笑える」を「草生える」に置き換えてみました。
「昨日の○○っていう番組、マジ笑えたわ~」
↓
「昨日の○○っていう番組、マジ草生えたわ~」
①言った方(草が生えている人)
草が生えたと言いたいだけ。以上。
②言われた方(草が生えている人と一緒にいる人)
この人、草が生えたと言いたいだけ。以上。
雑ですみません。汗
つまり、「草生えるをリアルに使っている人」に対するネガティブな意見は、以下の理由からきていると思います。
①自分の感情を表しているのに、その感情が伴っていない → 気持ち悪い
②発祥がネット用語なので、口に出すと語呂が悪いのに、あえて使っている → ウザい
③ネット用語を知っているのをひけらかしたい心理 → オタクっぽい
逆に、リアルで草生えるをつかってもOKなシチュエーションはどんなときかといいますと、基本的には
①親しい間柄で、
②相手がその言葉に対して不快感がないことが分かっている場合ではないでしょうか。
草はネットではバンバン使われている言葉ですので、メインはそちらで使っていただくとして、リアルでは上手に付き合いましょう。
ネットでみかける類語「大草原不可避」「竹」「森」・・・バリエーションはどこまで!?
草の由来について、そしてその反応について理解できたところで、いま現在使われている草の類型についてみてみましょう。
草 → 大草原 → 竹・笹・竹林 → 森 → 山 → アマゾン
草からアマゾンの熱帯雨林まで、ずいぶんとスケールが大きくなりましたね。
草生えると比べると、一回聞いただけでは訳が分からないですが、かえって連想ゲームみたいで面白く、好感がもててしまうのは私だけでしょうか?
ネット発祥用語のウザい・ウザくないの分かれ目は、使う人のセンスにもよる、ということもみえてきました。
草を使った用例をみてみましょう。
「大草原不可避」→爆笑してしまう
「草も生えない」→笑えない
個人的には、林ではなく竹なのが興味深いです。
確かに、木の複数形だったら、木→林→森・・・となりますが、
草だから木にはなりません。ただ、笹は竹になります(笹はイネ科の草です)。
だから草→竹→森(竹藪を含む森?)の流れなのか~と。
そして笹は密集して生えるので、ほんとうに「www」の様子にぴったりですね。
中国でも草や竹に近いスラングが!世界ではどんな笑いの表現がある?
「草生える」は、日本独特のスラングですが、外国のスラングにも目を向けてみましょう。
英語圏の「lol」は有名ですね。「lough out loud」(大きな笑い声)「lots of laugh」(多くの笑い声)からきているようです。
ほかにも「ROFL」(Rolling on the floor laughing)、「LMAO」(Laughing my ass of)といったバリエーションがあります。
そのほか、いくつもの国で「hahaha(笑い声)」をそれぞれの文字で表したものがスラングとして定着しているようです。タイでは「555」が「笑」を意味するようです。「5」の発音が「ha」というためだそうです。
日本でも(主にニコニコ動画などで)「888」を「パチパチパチ(拍手)」という意味で使ったりしますので、数字を文字化するというところの発想が似ていますね。
一方、中国では「233」が「笑」を意味するそうです。中国の有名な掲示板の顔文字の番号からきているそうです。
最近では、日本の「大草原不可避」に似ている表現「大海原藻生」なる言葉も見つかったとか。詳細は不明ですが、全て漢字だったのでパロディが作りやすかったんだと思います。
さて、元となった、日本発の「w」という短くて使いやすい表現が、世界に渡る日は来るのでしょうか? もしそうなったら、世界の人は、「w」が何にみえるんでしょうか。「草」なのか、「藻」なのか、別のものなのか・・・。
まとめ
「草生える」の意味は「笑える」で、ネット上でつかうスラングです。
リアルで使うときは、親しい間柄でウザがられない程度に使用しましょう。世間的には、あまり好意的に受け止められていないようです。
「草」の類型は、竹や森などの発展形もあります。草の意味を理解していれば予測がつくでしょう。
海外でも「草」のような笑いに関するスラングがあります。笑い声の表現が言語によって異なるため、言語に紐づいてその圏内のみで使われるようです。
「草生える」のようなネット用語は、使う人のセンスやシチュエーションによって、受け取られ方が変わって来る言葉です。相手も「草生える」ような、うまい使い方ができたらいいですね!
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